IPO投資は勝率ですが、銘柄によって儲けが変わってきます。また、銘柄選びに失敗してしまうと、損をしてしまうこともありますので、どのような銘柄を選べばよいか気になる人も多いと思います。
IPO(Initial Public Offering)とは、企業が株式市場に新規に上場することです。投資家は、上場した株を自由に売買できるようになります。上場するときに新しく株式市場に売り出される株を「新規公開株」といいます。
IPO投資とは、証券会社からIPOを抽選で取得して、初値がついたらすぐに売る方法です。
IPO投資は、初心者でも簡単にできて、勝率が高いというメリットがあります。しかし、一部の銘柄は、初値売りをすると損をしてしまう場合もあります。
ここで、IPOの銘柄分析をすることで、儲けやすい銘柄を選び、損する銘柄を選ばなくてすみます。つまり、人気がなく初値が高くならないと思う銘柄は買わなければ良いのです。
そこでこのページでは、「IPOで儲かる銘柄、損する銘柄の特徴」をお伝えします。
目次
IPOで儲かる銘柄の特徴
IPOで儲かる銘柄には、大きく2つ特徴があります。
1.話題性、強みや特徴のある銘柄
他社にない強みがある会社や上場前から有名な企業は、多くの投資家から今後の成長が期待されます。注目度の高い企業は、株を買いたい人が多くなり、初値が高くなります。
具体的には、新テクノロジー・新サービスの銘柄は、話題性が高く、初値上昇が期待されます。
例えば、2016年に無料対話アプリを運営する「LINE」やリスク検知に特化したビッグデータ解析をする「エルテス」が上場したときは、初値が公募価格を大きく上回っています。
実際に、もし抽選に当たっていれば、「LINE」の公募価格が3,300円、初値が4,900円でしたので、100株取得の場合、16万円の利益となりました。
同様に、「エルテス」の公募価格が1,790円、初値が6,510円でしたので、100株取得の場合、47万2千円の利益が上げられたことになります。
このように、話題性、強みや特徴のある企業が上場するときは、初値が高くなるため狙い目です。
2.ロックアップ契約がある銘柄
ロックアップ契約があるときは、既存株主からの売り出しがなくなり、IPOを買いたい人が多くなるため、上場後の初値は高くなります。
ロックアップとは、株式上場後の一定期間、既存株主が株式を売らないことです。既存株主とは、会社役員、大株主、ベンチャーキャピタル(ベンチャー企業に資金提供する機関)などです。
実際に、ロックアップ契約は、上場後すぐに株式が市場に流れるのを防ぎ、株価が急激に下がらないようにするために結ばれます。この契約があることで、他の投資家が上場後に安心して買い注文を入れることができます。
ロックアップ契約は、期間に余裕を持って180日間にすることが多いです。90日間のときは、契約が少し弱い印象です。
しかし、ロックアップ契約の期間が全くないよりは、既存株主が売りに出せないため、初値の大幅な下落を避けることができます。
このように、ロックアップ契約があるときは、投資家が好感を持ち、相場も良い状態となります。
IPOで損する銘柄の特徴
上記の画像は、2016年7月に上場した無料対話アプリを運営する「LINE」を始点にして遡り、過去1年間のIPO投資において、初値売り利益が1万円以下だった銘柄を抽出しています。
これは、ヤフーファイナンスからデータを引用しており、売買単位は1単位100株のときです。初値売り利益とは、売るときの「初値」から買うときの「公募価格」を引いた分です。
ここで、初値売り利益がマイナスだけでなく、利益が1万円以下だった銘柄を抽出した理由を説明します。それは、辛うじて損は出なかったが、本来であれば買うべきではない銘柄だと考えたからです。
つまり、少し条件が悪ければ、利益が1万円以下の銘柄を買うことで、損をした場合も考えられます。このように初値上昇が期待できない銘柄であれば、できれば買わない方が良いのです。
補足ですが、IPO投資の全成績は、88戦73勝13敗2分となっています。また、この期間において、勝率は8割を超え、初値売り利益の平均は約14万円です。つまり、外れのIPO銘柄は少ないことが分かります。
しかし、やはりできるだけ損はしたくないと思います。そこで、買うと損をするIPOの特徴をデータを見ながら以下にお伝えします。IPOで損する銘柄には、大きく4つ特徴があります。
1.上場規模が大きすぎるIPO銘柄
上場規模が大きすぎるIPO銘柄を買うと、初値売りで損をする可能性が高いです。上場規模とは、IPOの当選本数と公募価格の積で考えることができます。
ここで、新規上場するときに、企業は公募価格をあまり高くしない傾向にあります。なぜなら、公募価格が高いとIPOを買える投資家が少なくなってしまうからです。
例えば、公募価格を100万円で当選本数を1万本にするより、公募価格を20万円で当選本数を5万本にする方がIPOを買える投資家が多くなります。
そのため、上場規模が大きい場合、企業はIPOの当選本数を多くするようにしています。つまり、上場規模を見るときには、IPOの当選本数を見れば良いのです。
当選本数が多すぎるIPO銘柄
当選本数が多すぎるIPO銘柄は、初値売りをすると損する場合が多いです。なぜなら、当選本数が多いと買い手が少なく売れ残る可能性があるからです。
また、IPOを初値売りする人も多くなるため、初値が高くなりにくいと考えられます。
ここで、当選本数はどのくらいで多いと言えるのかが疑問になると思います。以下に当選本数と初値の関係をまとめましたので、参考にしてください。
当選株数(売出株数+公募株数) | 当選本数(売買単位100株) | 当選しやすさ | 初値上昇 |
100万株数未満 | 1万本未満 | 小 | 大 |
100万株数以上200万株数未満 | 1万本以上2万本未満 | 中 | 中 |
200万株数以上 | 2万本以上 | 大 | 小 |
私は、当選本数が2万本を超えると、当たりやすいIPOの部類に入ると考えます。また、当選本数が10万本を超えるとかなり当選しやすい銘柄と言えます。
実際、上記「初値売り利益が1万円以下だった銘柄一覧」の画像を見てみると、当選本数が2万本を超えているIPO銘柄が多いのが分かります。
私は、IPOに応募をするときに、当選本数が多すぎないかもチェックしています。当選本数が10万本を超えるときには、初値売りで利益が出ないと判断して、IPOの応募を見送ったりもしています。
このように、当選本数が多すぎるIPO銘柄は、初値売りで損をする可能性が高いのが分かると思います。
2.上場市場が新興市場(マザーズやジャスダック)ではないIPO銘柄
IPOの上場市場がマザーズやジャスダックと言った新興市場でない場合は、初値が大きく上昇しにくいと言えます。
実際、上記「初値売り利益が1万円以下だった銘柄一覧」の画像を見てみると、「東証1部」や「東証2部」に上場する会社が多いことが見て取れます。
ここで、IPOを分析したデータ88件のうち、「東証1部」は12件、「東証2部」は9件で合わせて21件しかないのですが、上記の画像には16件も挙がっていて本当に多いことが分かります。
これは、おそらく「東証1部」の銘柄は上場規模が大きいと言う理由も関係していると考えられます。また、「東証2部」に関しては、堅実ではあるが地味な事業内容の会社が多いため、初値が高くなりにくいと考えられます。
どちらにしても、「東証1部」と「東証2部」のIPOに申し込むときは、初値売りで損をしないか銘柄を注意深く分析する必要があります。
私は、初値が大きく上昇すると言える自信がないときは、IPOの応募を見送ったりもしています。
3.事業内容に新規性や収益性を感じられないIPO銘柄
事業内容に新規性や収益性が感じられないIPO銘柄は、初値が高くなりにくいと言えます。
IPOは、上場前に抽選に参加をして買う投資家もいますが、上場後に買う投資家もいます。
このとき、注目度の低い企業は、上場後に買う投資家が少ないため、大きな初値上昇が期待できません。
一方、他社にない強みがある会社や上場前から有名な企業は、多くの投資家から今後の成長が期待されるため、大きく初値が高くなります。
具体的には、新テクノロジー・新サービスの銘柄は、話題性が高く、初値上昇が期待されます。
上場市場の話とも関係しますが、マザーズやジャスダックに上場する会社は、このように成長が期待できる事業内容をしている会社が多いため、初値売りをすると大きな利益が得られるのです。
ここで注意点として、事業内容に将来性があっても、過去5年の財務状況がよろしくなかったり、収益化が難しい会社は、あまり初値が上昇することは期待できません。
つまり、初値を予想するときは、事業内容の新規性と収益性の両面を見る必要があります。この両面を満たしているIPO銘柄であれば、初値売りで損をすることが少ないと言えます。
このように、事業内容がイマイチのときは、初値売りで損をしないかを注意する必要があります。
4.公募価格が仮条件の下限で決まった不人気なIPO銘柄
IPOの公募価格が仮条件の下限で決まった銘柄は、初値売りをすると損をするときが多いです。
IPOを取得するためには、ブックビルディング(需要申告)期間中に証券会社に申し込みが必要です。
ブックビルディング(需要申告)とは、IPOの需要状況を把握するために、上場する会社が仮条件を投資家に提示することです。
IPOを買うときの公募価格は、このブックビルディング後に決定されます。
一般的に、公募価格は仮条件の上限で決まりますが、需要申告が多くなく人気がない場合は、下限で決まったりもします。
実際、上記「初値売り利益が1万円以下だった銘柄一覧」の画像を見ても、公募価格が下限かそれに近い価格で決まっている銘柄が散見されます。
私は、公募価格が下限で決定した銘柄の場合、初値売りで損をする可能性が高いとみて、購入申込をキャンセルしたりもします。
この公募価格は、IPOのブックビルディング期間後にわかるため、一度は抽選に参加をすることになりますが、当選していた場合はキャンセルすることも重要です。
まとめ
このページでは、「IPOで儲かる銘柄、損する銘柄の特徴」をお伝えしました。もう一度、おさらいをしますと以下のとおりです。
儲かる銘柄の特徴
・話題性、強みや特徴のある銘柄
・ロックアップ契約がある銘柄
損する銘柄の特徴
・上場規模が大きく、当選本数が多すぎるIPO銘柄
・上場市場が新興市場(マザーズやジャスダック)ではないIPO銘柄
・事業内容に新規性や収益性を感じられないIPO銘柄
・公募価格が仮条件の下限で決まった不人気なIPO銘柄
私も、IPOの銘柄選びをするときは、上記の内容に注意しています。
このページを読んで、どのIPO銘柄に申し込めば良いかの参考になったら幸いです。