「REIT(リート)や投資法人のIPOは儲かるのか?」が気になる人も多いと思います。
結論から言うと、上の画像にあるように、REITや投資法人のIPOは、普通のIPOよりも勝率が悪くて儲け額も大きくありません。
【用語のおさらい】
・REIT(リート)とは
「Real Estate Investment Trust」の略語であり、日本語で言うと「不動産投資信託」のこと。
具体的には、オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を複数購入し、そこから得られる賃料などの収益や売買益を投資家に分配する金融商品です。
・投資法人とは
ここでは、リートやインフラに投資をしている法人のこと。
・IPO(Initial Public Offering)とは
企業などが株式市場に新規に上場すること。
つまり、REITや投資法人のIPOは、全く儲からないわけではありませんが厳しいです。つまり、より高度な銘柄分析や不動産市場の分析などが必要になります。
そのため、初心者には、REITや投資法人のIPOはおすすめしません。実際に管理人も、これらのIPOにはほとんど申し込んでおりません。
ここで、「REITや投資法人のIPOが初値売りで儲からない理由」を知りたい人も多いはずです。
このページでは、まず「過去のREITや投資法人のIPO結果」をお伝えし、儲からない理由を3つのポイントから考えてみます。
目次
過去のリートや投資法人のIPO結果(2016年〜2019年5月まで)
2016年〜2019年5月までのリートや投資法人のIPOを合計すると21銘柄になります。これらのIPOを初値売りしたときの結果を見ていきましょう。
上場日 | 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り利益 |
2019/3/12 | サンケイリアルエステート投資法人 | 100,000円 | 97,000円 | ー3,000円 |
2019/2/13 | エスコンジャパンリート投資法人 | 101,000円 | 97,200円 | ー3,800円 |
2019/2/13 | エネクス・インフラ投資法人 | 92,000円 | 88,300円 | ー3,700円 |
2018/9/27 | 東京インフラ・エネルギー投資法人 | 97,000円 | 92,600円 | -4,400円 |
2018/9/7 | 伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 | 103,000円 | 99,300円 | -3,700円 |
2018/7/27 | タカラレーベン不動産投資法人 | 96,000円 | 92,000円 | -4,000円 |
2018/2/15 | ザイマックス・リート投資法人 | 105,000円 | 104,000円 | -1,000円 |
2018/2/7 | CREロジスティクスファンド投資法人 | 110,000円 | 104,500円 | -5,500円 |
2017/10/30 | カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 | 100,000円 | 95,000円 | -5,000円 |
2017/9/14 | 三菱地所物流リート投資法人 | 260,000円 | 274,000円 | +14,000円 |
2017/3/29 | 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 | 93,000円 | 89,200円 | -3,800円 |
2017/2/7 | 森トラスト・ホテルリート投資法人 | 143,000円 | 145,000円 | +2,000円 |
2016/12/16 | 投資法人みらい | 183,000円 | 176,000円 | -7,000円 |
2016/12/1 | いちごグリーンインフラ投資法人 | 100,000円 | 96,100円 | -3,900円 |
2016/9/8 | さくら総合リート投資法人 | 91,000円 | 79,000円 | -12,000円 |
2016/8/31 | 大江戸温泉リート投資法人 | 93,000円 | 89,200円 | -3,800円 |
2016/8/2 | 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 | 270,000円 | 271,400円 | +1,400円 |
2016/7/29 | マリモ地方創生リート投資法人 | 92,000円 | 88,500円 | -3,500円 |
2016/6/2 | タカラレーベン・インフラ投資法人 | 100,000円 | 109,900円 | +9,900円 |
2016/4/20 | スターアジア不動産投資法人 | 100,000円 | 99,100円 | -900円 |
2016/2/17 | ラサールロジポート投資法人 | 100,000円 | 105,000円 | +5,000円 |
「初値売り利益」とは、買うときの「公募価格」から売るときの「初値」を引いた値です。
2016年〜2019年5月までのリートや投資法人のIPO21銘柄の結果を見ると、5勝16敗であることがわかります。
特に、2018年〜2019年5月まで、リート(投資法人)のIPOは、8銘柄全てが初値売りで損になっています。
また、初値売りしたときの儲け額も数千円しかなく、「三菱地所物流リート投資法人」の14,000円が最大です。
つまり、リートや投資法人のIPOで初値売りをしても、普通のIPOと比べて、勝率が悪くて儲け額も少ないと言えます。
補足をすると、2014年や2015年前半は、リートや投資法人のIPOを初値売りしても数万円儲かることもありました。
これは、不動産市場が良いときだったからであり、通常の年ではそこまで儲からないことが分かります。
ここで、もう一つ別の意見を見てみましょう。
リートや投資法人は、IPOの勝率に入っていない
上の画像は、金融庁の監督下にある大手証券会社の「SMBC日興証券」が発表した信頼できる情報です。
IPOの勝率は8割を超えていると言う内容ですが、「REIT等、投資法人は除く」と明記されています。つまり、リートや投資法人は、IPOの勝率に入っていないのです。
これは、REITや投資法人のIPOは初値売りで儲からないと、間接的に伝えていると考えられます。
もし、REITや投資法人のIPOが初値売りで儲かるようであれば、わざわざこのような注意書きを入れることはないでしょう。
REITや投資法人のIPOが初値売りで儲からない3つの理由
REITや投資法人のIPOが初値売りで儲からない理由を3つお伝えします。
1.上場する市場が新興市場ではない
普通のIPOであれば、「マザーズ」や「ジャズダック」などの新興市場に上場するIPOが高い初値をつけます。
一方、REITや投資法人が上場するときは、「東証REIT」や「東証インフラ」と言う市場に上場します。これらは、新興市場ではないので、高い初値がつくことを期待できないのです。
2.IPO(新規公開株)の当選本数が多く、上場規模が大きい
一般的に、IPOの当選本数が少なく、上場規模が小さいIPOは高い初値をつける傾向にあります。
なぜなら、当選本数が少ない(上場規模が小さい)方が、銘柄の買いに投資家が集中するからです。つまり、上場する銘柄の売りより買いが多くなるため、初値が上昇するのです。
一方、REITや投資法人のIPOは、当選本数が多くて上場規模も大きいので、売れ残ることも考えられます。
具体的に、通常のIPOの当選本数は数千本に対して、REITや投資法人のIPOの当選本数は20万本を超えることもよくあり、上場規模が大きいのです。
そうなると、買いたい人より売りたい人が多くなってしまい、初値が公募価格を下回る「公募割れ」が起きてしまうのです。
3.事業内容的に短期間で収益が出ない
一般的に、事業内容に強みや独自性や新規性があるときに、IPOの初値が高くなります。
なぜなら、投資家が企業の成長に期待をするからです。企業が成長をしていけば、将来的に株価も上がっていくため、株も買われやすいと言えます。
一方、リートや投資法人のIPOは、不動産に投資をしているので、事業内容に新規性があるとは言いにくいです。
また、リートや投資法人は長期的に収益を出していくことが狙いですので、短期的には大きな収益が見込めません。
結果、リートや投資法人のIPOを初値売りをしても儲からないのです。
まとめ
このページでは、「過去のREITや投資法人のIPO結果」と「REITや投資法人のIPOが初値売りで儲からない理由」をお伝えしました。もう一度、初値売りで儲からない理由をおさらいをしますと以下のとおりです。
1.上場する市場が新興市場ではない
2.IPO(新規公開株)の当選本数が多く、上場規模が大きい
3.事業内容的に短期間で収益が出ない
このような結果や理由から、REIT(リート)や投資法人のIPOは、初値売りで儲からないと認識しています。
やはり普通のIPOが儲かるのです。そのため、REIT(リート)や投資法人を除いて、管理人も積極的にIPO投資を行っています。
当サイトでは、「IPOの当選が期待できる証券会社」をまとめていますので、良ければ参考にしてください。