あなたは、SBI証券でつなぎ売り(クロス取引)をして株主優待を取得したことがありますか?
つなぎ売りとは、株主優待が欲しい銘柄に対して「信用売」と「現物買」の注文を同時に行うことです。
具体的には、株主優待の権利付最終日までに、同銘柄を同株数、同約定金額で約定させ、権利落ち日以降に「現渡」をします。現渡とは、証券会社から借りた株式を同銘柄・同株数の保有株式で返済することです。
このつなぎ売りを利用すれば、株主優待取得後の株価の下落による損を回避でき、低コストで株主優待をGETすることができます。
つまり、「信用売」と「現物買」を同時に行っているため、株主優待取得後に株価がどちらに動いても損益を相殺でき、取引手数料だけを支払えば良いのです。
このように、メリットの多いつなぎ売りですが、実施する上でいくつかの注意点があります。つなぎ売りのやり方を間違えてしまうと、株主優待の利回り以上の取引手数料を支払うことになり、結果的に損をしてしまいます。
そこでこのページでは、画像付きでSBI証券のつなぎ売り(クロス取引)の方法や注意点を管理人の体験談を交えてお伝えします。
目次
0.信用取引口座の開設が必要
つなぎ売りをするためには、証券口座の開設に加えて、信用取引口座の開設が必要です。なぜなら、つなぎ売りは、「信用売」と「現物買」の注文を行うため、取引の片方で信用取引をすることになるからです。
信用取引口座の開設には2、3営業日かかりますので、つなぎ売りをする当日になってからでは間に合いません。信用取引口座をまだ持っていない場合は、早めに口座を取得しておきましょう。
ここで、信用取引口座の申込みは、証券口座の開設直後でもできますが、審査に通らない場合があります。なぜなら、信用取引は、手持ち資金以上の取引ができてしまうリスクの高い投資手法だからです。
そのため、信用取引は、株式投資の経験がそこそこある人を対象としているようです。
もし、まだSBI証券の口座をお持ちでない場合、株式投資の経験を積むためにも、早めの口座開設をオススメします。
1.つなぎ売りをする時期の確認
つなぎ売りをするために、株主優待がもらえる時期の確認が必要です。
3月と9月に株式を保有していた株主に対して、株主優待を送る企業が多いです。しかし、それ以外の月でも、株主優待を送る企業はありますので、時期の確認が必要です。
また、株主優待を取得するためには、企業の株式を一定期間保有して株主でいる必要があります。
具体的には、権利確定日に株主名簿に名前が載っている必要があります。
権利確定日とは、株主優待や配当などの株主としての権利が確定する日です。間違えやすいのですが、株主としての権利を確定させるためには、権利付最終日に株を保有している必要があります。
権利付最終日は、権利確定日の3営業日前の日付です。つまり、この日までにつなぎ売りを実施しなければ、株主優待をGETすることができません。
権利落ち日とは、権利付最終日の翌営業日です。この日に株を買い入れても、株主優待はもらえません。権利落ち日にやることは、「現渡」をしてつなぎ売りを完了させることです。
2.つなぎ売りの注意点
注意点1:配当金はもらえない
一般的に、株主優待を取得するときに、配当金をもらうこともできます。
配当金とは、企業が儲けた利益の一部を株主に還元することを言います。例えば、「今期の配当金は、1株あたり15円に決定しました」などと表します。
ただし、企業によっては、配当金を出さない場合や株主優待とは別の時期に配当金を出すこともあります。
しかし、つなぎ売りを実施すると、配当金をもらうことができません。
なぜなら、「現物買」と「信用売」を両方行っているため、もらえる配当金が相殺されるからです。
つまり、現物株を買って株主優待を取得するときに、配当金をもらえる権利も獲得できます。一方、一般信用取引(売り)もするため、配当落調整金と言うものを支払わなければなりません。
このような理由から、つなぎ売りを実施すると、相殺されるので配当金をもらうことはできないのです。
注意点2:口座情報が「特定口座(源泉徴収あり)・配当金受領サービス(株式数比例配分方式 )」であるかを確認する
このような設定であると、現物株式の配当金は特定口座の譲渡損(配当調整金の支払いを含む)と自動的に損益通算され、翌年1月に税金が還付されます。つまり、余分に支払っていた税金を取り戻すことができるのです。
ここで、現物株を買って株主優待を取得するときに、配当金をもらえる権利も獲得できます。この配当金は、源泉税(20.315%)を差し引かれた状態で受け取ることになります。
例えば、配当金が1000円の場合、源泉税を差引かれて約797円を受け取ることができます。
一方、つなぎ売りでは、一般信用取引(売り)もするため、配当落調整金を100%支払わなければなりません。
例えば、配当金が1000円の場合、配当落調整金として1000円を支払う必要があります。
これでは、差額の源泉税(20.315%)分である約203円を損してしまうことになります。
しかし、口座情報を「特定口座(源泉徴収あり)・配当金受領サービス(株式数比例配分方式 )」にしておくと、この差額分を翌年1月に取り戻すことができるのです。
ここで、配当金が少ない場合、この差額はあまり気にならないかもしれません。しかし、配当金が多いときは、株主優待内容に相当するほどの差額になることもあります。
このように、差額分を取り戻して損をしないためには、事前に口座情報を確認しておくことが重要です。
注意点3:つなぎ売り手数料より優待内容の価値が高くなる銘柄を選ぼう
優待内容の価値よりつなぎ売りの手数料が高くなってしまうと、結果的に損をしてしまいます。
例えば、優待内容の価値が500円しかないのに、つなぎ売り手数料が700円かかってしまっては200円の赤字です。
つなぎ売りの手数料は、以下の式で計算されますので、事前にシュミレーションをしておくと損を回避できます。
つなぎ売り手数料=現物買い手数料+信用新規売り建て短期(5日)の手数料(貸株料含む)+現渡し手数料
ここで参考ですが、管理人は、優待内容の価値が2000円相当以上の銘柄を中心に探しています。なぜなら、つなぎ売りの手数料より優待内容の価値が高くなることが多いからです。
注意点4:つなぎ売りをする銘柄の候補はたくさん挙げておこう
管理人は、つなぎ売りをする銘柄を権利付最終日の1週間前くらいから探していました。
このとき、いくつか候補を挙げておきました。しかし、候補の銘柄は人気で当日になって「売建受注枠」がなくて「信用売」ができない場合が多かったです。
そのため、つなぎ売りをする候補の銘柄は、できるだけ多く挙げておいた方が良いです。候補をたくさん挙げておけば、つなぎ売りをする当日になって他の銘柄探しに慌てることもありません。
また、どうしても欲しい銘柄に関しては、「売建受注枠」の空きが出ることがありますので、こまめにチェックすることをオススメします。
実際、管理人も、権利付最終日の午前0時以降(夜中)に見たときに「売建受注枠」のない銘柄が、午前8時前(朝)に見たときに注文ができたことがあります。
このように、銘柄の「売建受注枠」をこまめに確認することで、「信用売」のキャンセルが出たりして、取引ができるようになることがあります。
注意点5:つなぎ売りをするタイミングを決めておこう
管理人は、つなぎ売りをするときは、権利付最終日の朝9時までに注文を出しておくことをオススメします。なぜなら、株式市場が開いているときに「信用売」と「現物買」の注文を出しても約定金額が一致しないからです。
この約定金額が一致しないと、株価の損益が発生し、つなぎ売りの取引手数料以外に余分にコストがかかってしまう場合があります。
それを防ぐためには、株式市場が閉まっているときに両注文を完了させる必要があります。
もし、権利付最終日の朝9時に注文が間に合わない場合は、当日の11時30分~12時30分の市場が休憩のときがつなぎ売り実施のラストチャンスとなります。
ここでもう一つ注意点として、つなぎ売りは権利付最終日に行うことをオススメします。なぜなら、権利付最終日より前につなぎ売りの注文を出すことは可能ですが、貸株料の費用が余分にかかってしまうからです。
ここで、権利付最終日につなぎ売りの注文を出せば、貸株料は権利付最終日と現渡をする権利落ち日の2日分で済みます。
しかし、それ以前につなぎ売りをすると貸株料が余分に発生して、取引手数料が株主優待の利回りを上回ってしまう場合があります。
このように、つなぎ売りをするタイミングを決めておくことが株主優待をお得にGETするために重要です。
3.つなぎ売りの方法
(1)つなぎ売りをする銘柄の選定
①SBI証券にログインをして「株主優待でさがす」をクリック
②つなぎ売りの「一般売り」をクリック
③つなぎ売り(一般信用取引)ができる銘柄が絞られる
銘柄を見ていき、興味のある銘柄の「優待情報の詳細を見る」をクリックします。管理人は、今回「マルハニチロ」でつなぎ売りをしています。
④権利付最終日と株主優待の詳細を確認する
ここで、注意点が2つあります。
まず、権利付最終日がいつであるかを確認してください。銘柄によって、株主優待がもらえる日が異なります。例えば、2月に株主優待がもらえる銘柄の場合、3月になってからつなぎ売りをしても意味がありません。
また、株主優待の詳細を確認してください。優待内容だけでなく、優待獲得株数や備考欄もしっかり読んでください。なぜなら、銘柄によっては半年以上株主でなければ、株主優待がもらえないと明記されている場合があります。このような銘柄は、つなぎ売りをしても株主優待を取得することができません。
⑤つなぎ売りができるか「売建受注枠確認はこちら」をクリック
戻るボタンを押して前の画面に戻ったら、次は「売建受注枠確認はこちら」をクリックして、つなぎ売りができるかを確認します。
なぜなら、人気な銘柄ほど売建受注枠がないため、「信用売」ができないのです。
ここで、「信用売」の注文を出してから、注文が受け付けられないと表示されては時間のロスになりますので、あらかじめ売建受注枠があるのを確認しておくと良いでしょう。
(2)つなぎ売りする銘柄を信用売りする
①「信用売」をクリック
つなぎ売りをする銘柄が決まったら、「信用売」から取引を始めます。
ここで、注意点として「現物買」からつなぎ売りを始めないでください。なぜなら、売建受注枠がなく「信用売」ができない場合があるからです。
このとき、「信用売」から始めれば、売建受注枠がないときに注文が受け付けられませんので、他の銘柄に移ることができます。
しかし、「現物買」から始めてしまうと注文が受付けられ、「信用売」はできなくて、つなぎ売りができないことになります。
②信用取引区分を「一般(5日間)」にして注文を入力
まず、「一般/日計り売建受注枠」を見て信用売りができることを確認します。この売建受注枠がない場合は、あきらめて他の銘柄にいきます。
「現物買」と同じ株数を入力します。また、価格は、成り行き注文で出し、株式市場が開いたらすぐに約定するようにします。
ここで、信用取引区分を「一般(5日)」に選択することを忘れないでください。もし、「制度(6ヶ月)」を選択した場合、株不足のときに「逆日歩(ぎゃくひぶ)」が発生すると、余分に費用を請求されてしまいます。
③注文内容を確認して「注文発注」をクリック
④注文受付の確認
以上で、「信用売」の注文受付は完了です。つぎは、「現物買」の注文をします。
(3)つなぎ売りする銘柄の現物を買う
①「現物買」をクリック
今度は、現物を買うために「現物買」をクリックします。
②「現物買」の注文を入力
「信用売」と同じ株数を入力します。また、価格は、成り行き注文で出し、株式市場が開いたらすぐに約定するようにします。
③注文内容を確認して「注文発注」をクリック
④注文受付の確認
以上で、「現物買」の注文受付は完了です。
続いて、株式市場が開いたら、「信用売」と「現物買」の注文が約定しているかを確認します。
(4)株式市場が開いたら注文が約定しているかを確認
株式市場が開いたら、注文が約定しているかを確認するために、「取引」から「当日約定一覧」をクリックします。
つなぎ売りをする銘柄が、同じ株数、同じ約定金額で「現物買」と「信用売」の両方で約定していることを確認します。
このとき管理人は、「マルハニチロ」の他に「新日鉄住金ソリューションズ」と「オリエンタルランド」と「エクセディ」でもつなぎ売りを実施しているため、当日約定一覧に銘柄が載っています。
約定の確認が取れたら、後は権利落ち日に「現渡」をしてつなぎ売りを完了させます。
(5)つなぎ売りする銘柄を権利落ち日に現渡す
権利落ち日の市場が開いているときに、「現渡」をしてつなぎ売りを完了させます。「現渡」は、市場が閉まっているときに注文を出しておく必要はありません。
①「取引」をクリック
②「信用返済・現物引渡」をクリック
③「現渡」をクリック
④注文株数を入力
注文株数を入力し、取引パスワードを入力して「注文確認画面」へ進みます。
⑤注文内容を確認して「注文発注」をクリック
⑥注文受付(現渡)の確認
注文受付(現渡)の確認をし、「注文照会」をクリックします。
⑦全部約定で取引完了の確認
以上で、SBI証券でのつなぎ売りが完了です。あとは、約3ヶ月後に株主優待が届くのを待つだけです。管理人も株主優待がとても楽しみです。
ここで、つなぎ売りをするとき、取引手数料をどれだけ抑えられるかがカギになると思います。SBI証券でのつなぎ売りは、他のネット証券より取引手数料が安くなることが多いです。
特に、約定金額が15万円を超える場合、SBI証券でのつなぎ売りは、取引手数料がトップクラスで安いです。